技術選択のジレンマを超えて

2006年9月26日

研究

t f B! P L
技術選択のジレンマを超えて 」企業が現行技術から新技術への転換を、どのようにすればできるのか、についてのファナックをケースに柴田(『製品アーキテクチャの進化論―システム複雑性と分断による学習, 白桃書房も参考)が考察している。  

そもそも、技術ジレンマを起こす第一の要因は、フォスターが指摘した技術のSカーブ理論に起因する。

第二にクリステンセンが指摘した顧客や市場からの評価に起因するジレンマ(価値ネットワークが異なれば評価は異なる)である。 

そういった中、企業では、現行技術の限界を見極めることが難しいことに変わりはない。この理由は―
①技術能力は経路依存性を持つために、これまでの技術選択の蓄積が将来の技術選択に影響を与える。 
②技術は多面的な視点から評価可能であるために、技術限界の認識も多面性がある(価値ネットワークごとに限界がある(クリステンセン))。 
③技術性能の向上がSカーブを描くというS曲線の特質もまた、技術限界の認識を難しくする(フォスターはSカーブの変局点を計算することで、技術限界が近づいていることができると主張するが、技術限界を認識し断念する、意思決定の寄与率は低いのではないだろうか)。 

 ケースのファナックは: 現行技術と新技術を同時に追求していた。これが可能になったのは、①現行、新技術を追求する部門とを両方同時に共存、②両部門のタスクを異なる技術課題に特化、③両部門は1人の人間によって調整され統括。 従業員に高い負荷がかかってしまうが、一つの考察である。 

・・・新旧(技術)は選択するものではなく、配分するものである。  

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