社会人MBA-技術者編

November 29, 2006

製品の差別化

製品の差別化はよく聞かれる事である。さて、差別化の測定系は何だろうか?競争者と何が異なるのだろうか。まさか技術ではあるまい。ニッチなマーケットやリードユーザーは敏感だろうが、他の顧客は製品の技術に関してあまり敏感でない。実際、今こうして投稿している私はパソコンの技術、また言語について詳しくはない。

競合との差別化を感じるのは、顧客でなければならない。競争者とたいした違いしかなければ、低い利益率で特徴付けられるだろう。従って、品質その他の製品の特徴に基づく差別化は高い先行指標である。

利益率で測定されるならば、製品の機能は第一義に考えなくても良い、ということになる。(商圏から離れた)住宅街にある、客の入りの少ない高級フレンチの収益源が料理教室である場合、フレンチの質、価格は高級でないと効果はない[1]。工場の原価計算では赤字でも、顧客が使用するシーンでお金が使われるのなら、携帯電話、プリンターのように配ればいい。導入、成長、成熟と時を経るにつけ、お金の配分は変化するものである。製造メーカーであれば、成長期に利益率が高いかもしれない。この時の顧客の声は百万ドルの価値がある。QFD(品質機能展開)を利用して積極的に顧客の声を製品に反映すればよい。成熟期の顧客の声すべてを満たす製品はつくれない。車でも、とんでもない車になるだろう。

何でもできるは何にもできない。

従って、「製品の機能」に着目した場合、中程度の品質でも利益率が高いこともある。「音質」にこだわったとき、売れているipodの音質がよい、ということはない(音源を圧縮しているから仕方ないが)。

技術者はブレイクスルー症候群である。製品のある機能のブレイクスルーを常に検討している。否、没頭しすぎている。時にメーカーとして技術力を宣伝する場合は、フラグシップモデルとして有効だろう。しかし、高コスト、低利益率となれば(すでに成熟期をむかえている)、競争軸をシフトすることも含めて考えたほうが良い。顧客の声を真摯に分析し、次なる差別化を目指すことである。

・・・お金の配分に方程式はない。

<参考>
[1] さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学
[other] イノベーションの経営学―技術・市場・組織の統合的マネジメントpp200-205

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November 28, 2006

研究開発者の心得

これまで学んだこと、自らが経験したこと、様々な人に教えていただいたこと、現在、私は、業務を遂行するに当たり心得ている3つのことがある。

①多様性を大切にする
②開かれた開発
③粘ること

と、聞いたことがあるような言葉だが、大切に思っている。

多様性とは、クロスファンクショナルかもしれない。一部のメンバーでは、アイデア、コンセプトは固まってしまう。とりわけ、生産現場の方の経験は数字には出来ないほど貴重なものである。「硬い」「軟らかい」などと簡単ではあるが、私には見分けがつかない。その日の感覚で、一年を通して、いつもどおり操業に貢献する。また、他業種との関わりも重要である。他業種の方の何気ない一言に大きなヒントが隠されていることが多々ある。

開かれるとは、自社にとどまる開発をしない(NIH:not invented hereは排除する)。サプライヤー、自社、大学、ひとつのプロジェクトでも「決め打ち」しない。

最後に粘ること。そもそも、イノベーションの成功確率は商業的になるまで16%しかない。ましてや、ある素材の開発といえば、一年毎日勝負しても一日勝ったらラッキーなほどである。失敗に見えるようでも、必ずそのデータは何かを示している。「効果がない」との見解も、どのようなメカニズムが効果がないのか、何か条件を変更すれば効果があるのか、効果がある条件を見落としてはいないか・・・考え抜く。

経営学やイノベーションの研究といっても、社会科学である。
過去の事例を研究し、分類や抽象化を行い体系化している。
そこからは、失敗しないマネジメントを学ぶことは出来る。

・・・しかし、私がその博士号を有していたとしても、新二輪車の設計は出来まい。(リチャード・ラメルト:趣意)

California Management Review, 38, 110, 1996, 米国の二輪車市場におけるホンダの成功原因をめぐる継続的な論争より

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November 27, 2006

正社員と派遣社員

正社員と派遣社員・・・両者には言い分がある。正社員は「派遣社員は、業務の奥深くまでつっこまず、時間通りに帰れるよね」「業務を教えても、一定期間で人が変わるからきりがない」など、派遣社員は「いやいや、その分給料は低いし、社会的にも保障されない、でも社員の仕事もしているよ、定時にきっちり帰る社員もいるじゃない?」なんて、きりがない。
かといって、正社員の給料は7割、その分労働時間も7割でいいとは、同じ企業に勤めていて夫婦の場合はいいだろう(特に子供が小さいときは)、また、法科大学院、ビジネススクール、弁理士試験、など他に何かをはじめる場合は家族の了解があれば、いいだろう。

確かに、一部企業では導入されているが、今の日本ではなかなかそうはいかない。

経営者の視点から見れば、優秀な社員にはできるだけ仕事をしてほしい。残業代も(組合で決まっている時間があれば最大まで)惜しまない。ワークシェアリングしてほしくないのは仕事の質が落ちることを恐れるためである。優秀な派遣社員には、出来るだけ派遣社員のままでいて欲しい。給料が安くて済むためだ。

どちらも大変である。

・・・もはや、経営者すら社員出身である必要はないかもしれない。

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November 26, 2006

技術と市場

参考書の第7章より著者の視点は、マーケットに移される。これまでの技術軌道を利用、研究所の配置や資源配分に触れた戦略的統合から、顧客と市場のリンケージに焦点を当てている。身近の例で言えば、ipodは市場導入初期から現在のように売れたわけではない。おそらく、潜在的なユーザーは自分たちのニーズを理解していない、表現できていない。技術が革新的であっても市場の新規性が低いこともある。経験から言えば、業界でいまだに不明であった部分、それが自然科学的なことであれば、業界の関連する学会では話題になるが、市場にはほとんど聞こえてこない。

おそらく、分析可能なことは、市場がある場合である。分析可能であれば、機能を付与するなど漸進的に改良を行なうことができる。このことは効果が低い、ということではなく、効果を発揮するタイミングがある、ということである。

要は、技術者の視点からは、定常的な開発プロジェクトと新規の開発プロジェクトでは、異なったマネジメントのプロセス構造、およびツールを採用することになる、ということである。

財務的な視点からは、成長期、成熟期、衰退期と新製品にかかる研究開発費、粗利、マーケティング経費は大きく異なる。企業の製品により財務的な指標が異なるのであるから、それぞれにマネジメントが必要なのではあるが、たいていの場合、企業の中で(当該企業の主力製品である、利益率が高い、などという簡単な理由でそう思われている)最も優秀なケースをモデルにしてしまう。
このことは、企業のマネジメントを収斂してしまうだろう。時に、モデルが成熟期で金のなる木であれば・・・収斂させてはいけない。

・・・マネジメントは、利益を計上する、という目的に帰結させる極めて論理的な行為である。

イノベーションの経営学―技術・市場・組織の統合的マネジメントpp197-200

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November 24, 2006

イノベーションの成功確率

そもそも研究開発プロジェクトの成功を保証する方法は存在しない。従って、如何に成功確率を高めるかに注力される。そのプロジェクト財務分析を行なったり、技術の進化を予測したり、自社のコンピタンスを強固にするものであれば容認したり、と様々である。

財務分析では、現製品・サービスの改良程度であれば、市場や販売価格などが推定できるので行なえるが、研究開発段階のアイデア・コンセプトなどは、従来のDCFなどの方法ではおそらく評価できない。オプションだからである。

技術進化もその企業に最適な回答は与えてくれない。数十年前にテレビの予測を行なったとしても、おそらくシャープはプラズマテレビを選択しない。松下もプラズマテレビに特化しない。発明支援手法であるTRIZ(のなかでも技術進化の手法)が教えてくれるのは、何百万件の特許を分析した結果抽象化された技術発展の法則であって、これまでの歴史を振り返り、進化してきた様子を鑑み、企業の開発担当者が「おそらく次はこの法則に従うのではないか」と推測する。そして、その法則が具体的に意味することを製品に落とし込む。結局「目利き」によることになる。

シックスシグマにツール、QFD、TRIZ、タグチメソッド、次々に習得してきた私であるが、本業の開発業務への寄与は低い。これは当然のことであり、このような手法は、開発プロセスのどこで使用すれば手法の成果を発現できるかが決まっている。

この不確実性を定量化するならば、参考書でも述べられているように:
○プロジェクトの技術的な成功確率=0.80
○それにつづく商業的な成功確率=0.20
結局、0.8*0.2=0.16となりわずか16%だそうである。

従って、技術は企業戦略とリンクしなければならないし、この企業戦略は技術機会と適合しなければならにことがわかる。

時に、いずれの手法も「銀の弾丸」だと勘違いしてしまう。しかし、知らないで、「役に立たない」というのは暴論である。忍耐強く研究開発を進め、変化を予測するより、対応できる組織、またはチームを形成することが何より失敗しない運営である。

・・・「科学に関して成就し得たところのものは、一に永き熟慮、忍耐、努力によるものである」(ダーウィン)『チャールズ・ダーウィン』岩波文庫より。

イノベーションの経営学―技術・市場・組織の統合的マネジメントpp176-192

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November 23, 2006

統合と学習

企業のダイナミックケイパビリティの中で最も重要なものは、効率的な統合と学習を実現するプロセスである。この継続的な学習は複雑に変化する環境において活動する企業の生存と成功のための中心課題である。

さて、主要なケイパビリティとは、3Pと呼ばれ(勝手に呼んでいるが・・・)
Position:世界のどの国、市場のどこに位置するか
Path:これまでにどのような経路をたどってきたか
Process:専門的な部門間を統合するやりかた&継続的に学習するやり方

である。

継続的な学習能力、という観点から、その能力を有する組織を構築することは極めて重要である。その中で、企業研究所は中央なのか部門なのかは:
○外部の研究開発による脅威と機会のスキャン
○画期的な新技術の商品化
○主要な製品およびプロセスの開発
の目的により異なってくる。単純な法則というものはない。ということは、企業により最適解を選択することになる。その中で重要な4つの要因は:
○企業の主要な技術軌道
○技術の成熟度
○企業の戦略スタイル
○新しい科学依拠型とのリンク
である。

・・・最適解は企業毎に異なるものである。変わっていくものである。その変化を感じるアンテナ作りがここでいう組織作りである。

<参考>
イノベーションの経営学―技術・市場・組織の統合的マネジメントpp167-175

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November 21, 2006

Six sigma---in R&D?

R&Dにおけるシックスシグマはどのように適用されるのだろうか?Johnson(2002)はR&Dの流れにあわせて各種の手法を使用することがよいとし、Feo(2002)らは、DefineおよびMeasureフェーズでTRIZを取り入れていることを報告している。TRIZを扱った書籍でもシックスシグマとのリンケージは語られている(Mann,中川監訳(2004))。

そう、現在のところTRIZとの融合が好適である。TRIZはアイデアの泉ではないが、シックスシグマの限界を破る可能性と、不連続な技術発展を支援 してくれる。TRIZは過去の特許分析から種々のソリューションを提供しているので、特許を書く人がいなくならない限り、支援は可能である。しかし、特許を書く人がいる限り、永遠にアイデアの泉にはなれない。銀の弾丸ではない。これはTRIZの評価を下げているのではなく、そうなれば、研究職はコンピューターという最もお金のかからないものとなってしまう。

たいていの製造業はシックスシグマを生産部門で展開する。これは、もっとも親和性が高い。転じて他の部門へ適用するには、工夫が必要である。それは、シックスシグマ銀の弾丸ではないが、その論理である。そのクロスファンクショナルさである。そして、トップを利用することである。

まず、問題を特定することである。これができれば、シックスシグマで解決を試みれば、成功確率は高くなるであろう。否、すでに企業に問題解決フェーズがあれば、シックスシグマである必要はない。
TRIZですら、問題を特定する一手法でしかない。

これは、シックスシグマのブラックベルトであり、QFD、TRIZを実践する私の実感である。

・・・企業の第一の目的はノーベル賞を取ることでも、最先端でいなければならないことでもなく、顧客を満足させながら利益を獲得することである。

<参考文献>
A.Johnson, “Six Sigma in R&D” Research Technology Management, 47, p12-16, 2002.
Joseph A. De Feo, Zion Bar-EI,"Creating strategic change more efficiently with a new Design for Six Sigma process",Journal of Change Management, 3, pp60-80 , 2002.
Darrell Mann,中川徹監訳,『体系的技術革新』,創造開発イニシアチブ,pp432-433,2004.

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November 20, 2006

value - centric

つい10年前の製造業の注目すべき指標は、defectであった。というより過去から、あり続けた。zero-defectとは、標語のようになっている。シックスシグマを導入する際、シックスシグマの考え方を浸透させる意味合いで、zero-defectは大いに否定された。簡単なカラクリで、データを測定し、その分布が正規分布に近似できるならば、計算上、"0" になることはあり得ないので、「考え方を変えましょう」と促すのである。実際現場で生産技術の方の中には、あまりに簡単に否定されるので「おいおい、本当か?」とよく尋ねられたものである。これら活動の中心にあるのは、defect-centricである。

QCサークルや小集団的な活動が形骸化した製造業では、計測する指標が頭打ち、成果も頭打ちであるので、活動に教育的な側面すら求められない。若い従業員が「これはどうなんだろう?」と投げかけても「それはやった」「それもためした」とzeroに近づける因子にも関わらず、zeroにならないので試さない。そうしているうちに、若い従業員のモチベーションが低下し、「そんなものか」と官僚化が進んでしまう。

こうなると、立て直すより壊したほうが早い。そういったなか、シックスシグマが日本へも展開され、"3.4/100万" の確率が最高、と公然と示され、上記の話になるのである。

しかしながら、シックスシグマが日本へ展開される頃にはすでに、defect-centricは形骸化し始めていた。導入した日本企業も「製造」以外での適用は困難を極めた。問題解決プロセスがどうもなじまない。どうしても、実験計画法や統計解析を行うことが「シックスシグマを行う」ことに代用され始めていた。
商品サイクルタイムが短くなっている中、アイデアがあればそれを実行することは短縮されるが、アイデア創出をシックスシグマに求めていたフシがある。問題解決プロセスは問題を特定してから力を発揮する(当たり前だが)。

そして、顧客と供給者の間の品質が着目され始め、顧客に"happy""smart"と思わせるにはどうしたらよいのか?に注目が移り始めた。いわゆる、「value - centric」に活動を展開する、というものである。このようなこと=イノベーションの源泉はどこか?の類はフォン・ヒッペルが研究しているし、製品・サービスの機能レベルが高い=売れる、のであれば、発明を支援するTRIZがあり、顧客の声から設計→製造となればQFDがある。それらを統合する文献も散見できるので、結局企業は、必要に応じてそれらにアクセスすることが重要になってくる。

・・・研究開発分野の他に「目利き」が存在しなければならない。ましてや、研究開発分野の携わるものはできることに越したことはない。


<参考>
*value - centric:Mikel J. Harry, Doug Crawford,"Six Sigma - The next generation",Machine Design, 77, pp126-132, 2005.
*フォン・ヒッペル:イノベーションの源泉―真のイノベーターはだれか
*TRIZ:特には、Darrell Mann, 中川徹監訳,『体系的技術革新』,創造イニシアチブ,2004.
*QFD:赤尾洋二,品質展開入門

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November 19, 2006

開発設計

MBAで種々のことを学習すると、私のような幼稚な考えでも、もしかしたらどこかの組織で役立つことができるのではなかと錯覚する。仮に私にそのような力があっても私にはできないであろう。開発職についている周りの者もそうだが、(私も含め)彼らには「生涯テーマ」が決まっている、というより決めている。そのテーマを進めることを大前提としている。

研究開発は一見、華やかに見えるが、ほとんどが陽の当たらない作業である。たとえば、医薬では何万分の一の成功確率であるし、工業的な研究でも、ほとんどは失敗である。失敗というよりは、「この現象は何々で説明されない」の知見累積である。ある意味、万馬券であるのだから、現象に説明づけをできる方法を見つけると、それが、一年に一度あるかないかにせよ多大な満足感に浸ることができる。さらに、それを具体的な製品に反映していくこと行為は、種々の課題があるにせよ、モノづくり中毒と言ってよい。

開発行為が博打であるから現場に携わるものは博打打である。

仮に私の幼稚な考えで、ある組織を潤したとしても、私はその組織の構成員ほどは喜ぶことはできないだろう。

・・・今以上の収入を得ることは簡単であるが、それは、今以上にやりたいことではない。


November 16, 2006

MBAの役割

MBAの役割について考える。現在のMBA教育で学ぶことは、ある状況下で「失敗しない選択」をできることである。たかが、失敗、されど失敗である。私は技術者であるが、MOTを売りにする大学(技術経営修士など)は選ばなかった。MBAの講義は講師と生徒の相互作用である。生徒は何かしらのプロであり、講師も何かしらの専門家である。幅広い専門家集団の目的が一致すれば成果は大きい(当然、広がることがデメリットになることもある)。名のある大学でも修論すら課さない大学もある。

だからと言って、これが正しいとは限らない。あくまで入学は本人の目的である。

はっきり言って、社会人学生は酔狂である。仕事後、講義に駆けつける。入学者は意識の高い人々なので、出来がいい。それでも、睡眠時間は激減する。講義が終わり、仕事→徹夜も珍しくはない。
それに高額な学費を支払うのである!

私は恵まれている。両親のおかげで、学生生活は大学院まで行かせてもらえた。
両親は良く働き、私立の大学に通わせてくれた。理系の学費は割高である。
そして、現在は独身であるため、時間、お金に余裕があり、さらに大学院へ通うことが出来る。
両親、同僚、上司のおかげである。

そういった両親の役割を果たしている方々とも一緒に働いている。

このような教育を受ける機会は少ない。教育を受けたものの役割は、目立たずとも真面目にコツコツ働く方々が、なんちゃって経営によって駆逐されないような環境をつくることにある。とかくMBAというと金儲けだが、私はそういう風潮が好きになれない。これまでも一度記載したが、今後の企業の競争は、経済的競争から人道的競争にシフトする、というのが私の持論である。例えば、利益は巨額だが、それを従業員の犠牲の上に成り立たせることはレベルの低い経営だと考えている。
しかしながら、従業員に過保護な環境をつくることが目的ではない。One for allではあるが、All for oneではない。一人はチームのために尽くすが、チームは一人のために動かない。善意のチームメートによりサポートされる。でないと、甘ったれてしまう。

開発設計職には年齢ピークがある。腰が重くなる40代中ばを過ぎれば出来ないであろう。
現在の私の年齢を考えると、今がピークである。現在のチームがおそらく最後のチームになる。

このチームで最高の成果を引き出すことが当面の私の課題となろう。

・・・最後に残るのはやはり、組織学である。

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November 14, 2006

あぶない傾向

私の周りには、皆さんと変わらず、起業している人、転職する人、独学に励む人、将来ビジネススクールへ通うことを決めている人などに囲まれている。特に、社長は大変で、中小企業ではすべてを背負っている気概がある。研究開発職だが、研究開発ベンチャーはあまり聞かない。多額の資金が必要になるからであるし、日本は「老舗」好きなので、単純に技術のすごさ、安さでは選択しない。これは間違いではなく、経営陣を見て決めているから、という理由もある。

経営陣を見て決める・・・おそらく、その前にブランドかもしれない。付き合いかもしれない。大手の場合、その理由は皆無であろう。
知り合いから言わせれば、所詮サラリーマンだろ?である。

所詮はサラリーマンであるが、以下のことにもトップダウン、ボトムアップどちらでも対処していかなければならない。

<責任の処遇>
自分の任期後 の数字(売上高、営業利益などなど)を就任時に景気良く目標などといっておいて、ハイ、さよなら、で済まされ、社長であれば会長になっても公約違反は関係なし・・・という企業文化であれば、是正しなければならない。

<前年比シンドローム>
状況により、昨年より低めの設定で予算をたて達成しても、「昨年より低い目標なのだから100%以上の数字」を要求する。完全な「前年比シンドローム」である。このような時は、新たな販路、市場を見つけなくてはならない。


・・・従業員は針の山に立っていると考えれているかもしれない。しかし、経営者は断崖絶壁にいるのである。どちらも大変である。

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November 13, 2006

小企業における技術軌道

小企業の技術的コンピタンスと製品の種類は、大企業とは異なり、多様化よりむしろ専門化する傾向がある。しかしながら、大企業同様、確固たる一般化はできない。

①スーパースター企業・・・小さな規模から出発し、大きな発明あるいは豊かな技術軌道を利用することにより急成長を遂げた企業。
②NTBF(新しい技術に基づく企業)・・・大企業の研究所や国立研究所が源(バイオなど)
③専門化サプライヤー企業・・・特化した生産プロセスへのインプットを供給
④サプライヤー支配型企業・・・主要な新しい技術の源泉は、サプライヤーであるほとんどの小企業

とかく注目されるのは、スーパースターとNTBFである。

ここまで、経路・技術軌道を利用する点を種々にまとめてきたが、結局は、新たに登場するだろう技術機会を捉えるには、組織とそれに付随するコンピタンスの再構築が必要である。おそらく、種々の不確実性に対処するのは、既存のコンピタンスを製品にマッピングするテクニック、技術-製品マトリクスである。

すなわち、列に製品系列、行に要素技術を配置するマトリクスである。
(第5章 了)

・・・将来のビジネス分野を教えてくれるものはあるのだろうか?

イノベーションの経営学―技術・市場・組織の統合的マネジメントpp154-165

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November 11, 2006

コア・コンピタンスによるアプローチを評価する

このアプローチの長所は、徐々に蓄積される企業独自の技術的コンピタンスを企業の戦略課題の中心に据えたことである。
しかし、いかなるアプローチにも限界がある。

①産業間の違い:企業のコア・コンピタンスが製品の多角化の源泉となりうるか?
②多様な技術を有する企業:技術的リソースを特定分野に集中させるという戦略は恐らく間違い。
③コアの硬直性:コンピタンスが支配的になりすぎた場合には、新しいものが無視、あるいは過小評価。

最も重要な問いは、どのようにすれば経営者はそれを見つけ出し、発展させるかということである。
技術的コンピタンスの既存機能面からの定義で計量することも大切である。これに加え、機能上の能力が陳腐化しないために追加すべき新規のコンピタンスを探索し、見つけ出すということである。

過分に経営者に何かを求めているようであるが、戦略的を定める際は経営者が重要な役割を果たすが、重要な技術機会とビジネスの可能性は、上級経営者の天才的なひらめきではなく、知識の蓄積と漸進的な学習プロセスにより培われるべきある。

・・・時に天才も必要かもしれないが、彼らはの活躍は持続可能なものではない。

イノベーションの経営学―技術・市場・組織の統合的マネジメントpp149-154

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November 9, 2006

企業に固有のコンピタンスを発展させる

企業が技術軌道をたどりそれを利用する能力は、企業自身の技術的・組織的なコンピタンスに依存すると同時に、競合企業による模倣の困難さに依存している。90年代、業務効率と柔軟性の向上という視点は競争の成功の鍵を探る者にとって視野に入らなくなっていった。

こういった中、企業の持続的な競争優位性はその製品にあるのではなくて、企業のコア・コンピタンスにある、とハメル、プラハラッドが提唱した。

つまり、現代企業の行動にハイライトを当てたもので:
○優位性の源泉は、徐々に蓄積される独自の技術的コンピタンス
○企業内の幅広い技術と生産能力を統合するマネジメント能力
○コアコンピタンスが複数のコア製品を生み、さらに事業を生む
○組織に付随するコンピタンス;コミュニケーション、幅広い参画
○コンピタンスの構築には集中化が必要
○個別のビジネスユニットには、必ずしも納まりきらない
○「トップ経営者によるコミットメントと主導

などの視点である。

・・・スリムな企業を追求すると拒食症になる。あまりに資源を集中すると博打になる。

イノベーションの経営学―技術・市場・組織の統合的マネジメントpp145-149

photo (c) Mori

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November 8, 2006

「安全」について

設計といっても基本的には工場勤務であるが、長くいるとそのルールの多さに驚かされる。その際たるものが「安全」に関するものである。少しの怪我でも家に帰り病院へ行くと労働災害の「隠蔽」になるため、必ず会社経由で行くか、産業医に診てもらうかしなくてはならない、などは基本であるが、最近ではリスクアセスメントにより危険なポテンシャルの洗い出し、対策、教育が取り組まれている。

さて、「マニュアルをつくった人は危険のありかを知っているが、あらかじめ決まった『安全なやり方』だけしか知らない人たちはそうはいかない。不測の事態が起こればそれに対応できずに必ずトラブルになる」(危険学のすすめ)とは畑村の見解であるが、そのとおりだと思う。よく言われる喧嘩の仕方と同じである。危険を体験せよ、とまでは言わないが、ヒアリハットなどを集積することで危険とうまく付き合えていけるものだと考える。

工場での事故は本人にとってもそのご家族にとっても苦痛である。後遺症が残るケースはさらに苦痛を伴う。
しかし、事故を起こしてしまった人を攻めるのは簡単であるが、どう事故に至ったかのプロセスを学習することのほうが優先事項である。残業が多かった、生産数がタイトであった、クレームの対応であった、など、様々な要因の交互作用である。

従業員の安全すら守れない企業が顧客の安全を守れるとは思えないし、そうであってほしい。

巨額の利益を従業員の犠牲の上に成り立たせる経営者は無能である。
従業員の犠牲をもってしても利益を伸ばせない経営者は危険である。
それらを把握すらしていない経営者は事故である。

photo (c) Mori


November 5, 2006

技術軌道(5つのタイプ)

主要な技術軌道が多様化する背景には、2つの危険性が潜んでいる。一つは特定企業や特定産業セクターの経験に基づいて一般化している点、もう一点は、反対に企業や産業分野はすべて異なるので一般化ができないと言い切ってしまう点である。一般化できないと言い切ってしまうと、リサーチが終わってしまうので、どこまで、一般化できるか、そこにはどのような仮定が必要か、あるいは不必要化を考えなくてはならない。

そこで、著者は、主要な技術軌道を5つに分類した。

1.サプライヤー支配型企業の技術軌道
2.規模集約型企業の技術軌道
3.科学依拠型企業の技術軌道
4.情報集約型企業の技術軌道
5.専門化サプライヤー企業の技術軌道

確かに、これらは単純化しすぎてあることは否めない。例えば、大企業はあらゆる産業分野において生産性の効率を高めるために、規模集約型の技術の能力を持っている。
が、このような分類の試みは大変有益である。

・・・これらの典型的セクター、技術の源泉、経路の分類は極めて正論であるが故、大企業病の処方箋と言える。

イノベーションの経営学―技術・市場・組織の統合的マネジメントpp-137-140

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November 2, 2006

かっこいい3Dモデル、あります-Google Earth チーム

Google Earth チームは、Google Blogにて、「スタートした日本語版の 3D ギャラリーと 3D ギャラリー ネットワークリンクです。 3D ギャラリーは、建物の詳細な 3D モデルを集めた、いわばネットワーク上の美術館で、3D ギャラリー ネットワークリンクを使えば、これらの 3D モデルを Google Earth 上で、実際の場所に建っているように表示することが可能なのです。」と3D ギャラリーに関して発表した。

ご存知、Google Earthで、建物の3D表示が行なえるというものである。衛星写真や動きの速さだけでも、驚いたが、これまた素晴らしい。

実際に行ってみたものがこの記事上の、梅田スカイビル。
さらに、SHANGHAI(上海) INTERNATIONAL CONVENTION CENTER



・・・いまや、**ソフトがインストールしてあることよりも、インターネットに接続していない方が不安である。

<記事>http://googlejapan.blogspot.com/2006/11/3d.html


November 1, 2006

人は石垣 人は城

有名な武田信玄の言葉である。人の周辺環境は大きく変化したが、本質はこの頃からも、さらにその昔からも変わっていないのではないだろうか。

企業の盛衰もやはり、結局のところ「企業は人なり」という言葉の「人」に尽きる。
企業はドラッカーの言うように、たとえエンジェルであっても儲けなければならないが、持続的成長を遂げるのであれば、人に頼らざるを得ない。さらには、人材も育成しなければならない。

心理学者のマズローは人間性の最高価値の中で「人々を成長させる一つの方法は、責任を与え、果たし得るものだと仮定し、苦労をさせ、汗を流させることだと思う。彼らを過保護にし、甘やかせ、代わりにやってやるよりも、自分自身でやらせることである」と述べている。こうするには企業文化が重要になる。構成員の資質にもよる。企業にとっては金も大事であるし、それ以上に企業体=人が大切で、さらには、構成員がつくる企業文化が最も大切ではなかろうか。

まだまだ半人前である私の見解であるので、青臭いかもしれない。
ただ、企業で、ビジネススクールで、常に業務効率、経営効率を高めていく環境にいると、金、金、金、$、$、$・・・画竜点睛に欠けるような思いになる。

派手なパフォーマンスを発揮する人は評価されなければならないが、その人のみを評価すべきではない。その人がパフォーマンスを発揮するには必ず影の人がいる。一人では何もできないものである。どれだけ仕事が出来ても、せいぜい120程度である。どれだけできなくともせいぜい70ぐらいであろう。二人にはかなわない。

・・・たとえ今の給料が不満であっても、その分は”社会銀行”への預金と思わないいかん、その我慢ができるかできないかで将来は大きく変わってくる(松下幸之助)

*画像アップはできませんでした。あしからず。