small-world

2007年1月8日

研究

t f B! P L
「広いようで世間は狭い」、スモールワールド現象とはこのようなものである。有名なのは、Milgramの実験(1967)で「6次の隔たり」という概念である。

例えば、あなたはある神学者の妻は知らないが、手紙やメールで知り合いを通じてその人に行きあたるまで、平均すると6回であるという。 ex)(あなた)→(友人)1→・・(友人)6→(神学者の妻) 

これらには、特徴があり、経路が一部のノードに集中(scal-free)、経路が集中するも頭打ち(broad-scale)、経路の集中するノードほど数が減る(single-scale)ことが示唆されている(下の文献)。ノードとは例では(友人)、経路とは→(矢印)のことである。実験は多数のスタート点を設け実験した知見である。 製品開発について考えると、特に、電機のような開発設計では、経路、ノードは下の図のようになる。 内容は、さておき、顧客や社会情勢から要求品質が生まれる。それを技術課題に翻訳し、開発者は、学術文献、特許などのノードを利用し、解決策であるオプションを生み出す。

それらのオプションを利用した実際の導入策が最終的に企業が採用する。いわゆる、最初の要求品質=解決策は、品質において成立しているのである。 開発設計は、アウトプットからはじまるものである故(学術のように帰納的なアプローチではない)、アウトプットを支えるオプション(特許権に代表される)の価値評価は製品開発活動にとって意味はない(企業の資産で無形資産の観点では、意味があります!)。 

それは、成立するまでのタイムラグに由来する。直感的に、左から右に進むにつれて、コストがかかることがわかる。製品開発活動では、導入後の早い時期の価値を把握したい。特許権成立後では、その技術は陳腐化しているかもしれないからである(電機のライフサイクルを考えると)。 

製品開発論になってしまったが、small worldの観点からは、拡大解釈すると、「あなたが望む商品は、誰かがどこかで開発している、いや販売されているかもしれない」ということかもしれない。  

・・・ということは、技術者の課題も誰かがどこかで解決策を有していることになる。いや、最新の課題であっても、世界で誰かが気付いているのである。 

<参考> 
*L.A.NAmaral, A.Scala, M.Barthelemy, and H.E. Stanley, "Classes of small-world networks", PNAS(www.pnas.org), 2000. *Wikipediaにも詳しい。 *図は筆者作成。

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