シックスシグマ⑭-2(工程FMEA-カンバン方式編)

2008年1月29日

シックスシグマ

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(前回続き)前回の工程FMEAは一般的な形であるが、カンバン方式を採用している企業に見られる、また、自工程のエラーを後工程に持ち込まないことを主眼とするFMEAは以下が例である。

(というより、もはやこれは、単なる手順を無理やり数値化したに過ぎない。故障も故障モードも関係ない。あくまで、御参考までにしてください。)



前回の例とは、全く異なることがわかる。

これは、カンバン方式では、何より「作業」が上位概念であるため、エラーの発生もそこが起点となっている。

内容は:
①液体混合工程という大きなくくり(大分類)から小分類まで作業を展開し、その作業でのエラーを「想定される不良」として洗い出す。
②その上でその作業で、もしくは不良を鑑みて「保障すべき特性」を洗い出す。ここでは材料の納入の規定に関するものも含まれる。
③「検知箇所」では、その不良は検査しない場合、どこで検知されるか、例えば、自工程の検査でわかるのか、後工程なのか、はたまた、顧客まで分らないのかを記載するが、当然、顧客までわからないものは「深刻度」は高い。
④不良の「発生度」を入力する。
⑤不良の検知(=検査)は現在どのようにコントロールされ(目視ならそれでもよい)、それは、どこで検査されているのかを「現状のプロセスコントロール」「検知箇所」に記載する。

例えば、表では、粉末Cの投入質量を誤ると、製品機能が損なわれるが、それは工場では検知できない、となっており、RPNが最も高いものとなっている。

この表は一長一短に完成するものではなく、チームで何度も何度も修正して完成していく。最終的には⑤において、不良を後工程や顧客に持ちこまないため自工程での保障(検査など)をいかに確立するかが最大の焦点となる。

そして、この表が、液体混合→○○工程→○○工程と拡大して作成されると、「作業標準」と同時に「故障の影響度解析」が可能になる。

工場管理者にとっては 有益にも思えるこのシートであるが、後工程とのつながり(顧客を含む後工程の要求事項)を自工程に盛り込んでいかなければならないので、工場作業者でも班長や主任、他部門(品質保証、物流、設計、生産技術)など多くのリソースと多大な時間を要することは忘れてはならない。

「自身が管理者のうちに完成形を見ることはなくとも当該企業の為には・・・」との覚悟があるなら存分にリソースを使い実施すべきである。

経営者にとっては この完成形の先にあるのは、作業者の非正社員化である。失敗は許されない。途中で頓挫することとの引き換えに、これまで気付いてきた人望をすべて失うほどの負担を作業者に強いることを忘れてはならない。

作業者にとっては あなたが正社員であるならば、作業を担当する非正社員を管理できるスキルを身につけるべきである。これらの完成形を見るまでには結構時間がかかるので、早急にとはいわない。正社員である作業者を非正社員化にするといっても、その時、作業者のうちの何割かは管理側に回るので、この活動のイニシアティブはあなたがとり、行なうべきである。腹を決めるしかない。

生産現場以外のマネージャーにとっては あなたの部下は知らず知らずのうちに本業以外にリソースを割り当てていき、増大していく。やがて、これまでの仲間をリストラする作業であることに気付き始める。その時のモチベーションの低下は事業根幹に関わるものとなり、味わったことのない雰囲気が蔓延する。企業組織が一度そうなると、二度と立ち上がることは出来ない。Noといえるのはあなたなのである。逆に、より良い方向へ導くことができるのもあなたなのである。



今日の記事は少し生意気でした・・・すみません。。。

(「シックスシグマ⑭-2(工程FMEA-カンバン方式編)」了)
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