マーケティング⑥(プライベートブランド)

2008年6月2日

MBA マーケティング

t f B! P L
トップバリュ、セブンプレミアム、グッド・アイ…小売業者にとっては重要な意思決定となるものが、プライベートブランド(以下PB)である。

通常、製造業者のブランドをPBに比してナショナルブランド(以下NB)と呼ばれる。現在、NB製造業者は、プロモーション費用を増して、NB維持に努めるが、棚面積増加のためにはPBへの投資圧力を流通業者がかけてくるため、悩みは大きい。

多くのPB品がそうであるが、その製造はNB製造業者であることが多い。PBを展開する業者にとっては、「製造業者が研究開発費などを負担しなくてもいいのだから」となるが、製造業者にとっては、「価格が安すぎて製造ラインの固定費用調節」にしかならない。

この両者は、お互いに満足することはない。NBの弱体化に関しては、一般に、流通、小売業者が力をつけてきたことが言われるが、消費者の観点からは、価格に敏感になってきている背景がある[1]。

結局は、原点である、消費者の認知ブランドを製品・サービスで、知覚価値を価格で実現しなくてはならない。

ソニーはコストリーダーシップのブランドではないし、パナソニックはイノベーターが好むブランドではない。この両者は、そのブランドをそれぞれに構築してきた。ベータvsVHSでの記憶は製品品質のソニー、コストリーダーシップのパナソニックなのである(これらの戦略の考察は[2]に詳しい)。

現在の有力ブランドの最大の弱点は、「製品品質」と「コスト削減」に、いや、それらのみに執着しすぎなのである。

ケチャップの製造業者がその味(製品品質)だけに執着しても、安く製造することに執着しても、うまくいかないであろう。消費者はそのブランドに何を期待しているのだろう?それが答えである。その答えが、当該企業で利益の見込みがないのであれば、撤退するしかない。いつまでも同じ製品・サービスを提供して、利益を捻出できるほど、現在のビジネスはあまくない。

「製品品質」と「コスト削減」のみに執着したブランディングはやがて色褪せる。

理由は簡単で、どちらもやがてはサチレートするからである。
○製品品質を謳うはずの広告が商品名の連呼であったり…
○対外的にアピールしているポイントがブランドイメージと異なったり…
例えば、「ソニーがジャストインタイム」と言っても???ではなかろうか?
最も危険なのは、この二つの因子が臨界点を超えると、顧客クレーム(や事故)が増加するということである(これは組織的な要因が大きい、責任所在、低モチベーション化など)。

・・・そのような悩みが深い企業が取り組まなければならないのは、「よそでもやっているから」との馬鹿げた理由から導入されるシステム導入ではなく、「ブランドから商品まで管理するプロデューサー」の育成なのである。

注)
[1]『コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版』第六部 小売業、卸売業、ロジティクスのマネジメント、p646より。
[2]『戦略のパラドックス』第二章 完璧な計画より。

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