本社の機能

2008年8月4日

MBA

t f B! P L
本社の有する機能は:
意思決定機能
広域的管理機能*
*調達・購買・外注、市場調査・営業、研究開発などの諸部門を適切に管理し、運営していく機能

の二つにまとめられる(名古屋大学 多和田 眞 研究会,「東海産業クラスター分析~地域経済発展のための方策~」ISFJ 政策フォーラム2005発表論文 3rd-4th Dec 2005.p32~第4章 本社機能より。
資料はこちらです。

将来有望な事業において、幾つかの主企業が操業している地域であれば、サプライヤーや研究機関などが集積しているため、その事業を有望視するなら、その地を本社に起業することや、本社機能を移転することは望ましいことではある。

税制の面からは、日本の税率は世界のなかでも高く、約40.7%の実効税率(国税の法人税+地方税の法人事業税+法人住民税)に通常は、所得税を負担し、約50%にも及ぶ。将来的にはEUやロシア、米国での法人税率が20%代になることを考えれば、日本を除いて世界は”タックスへブン”だらけである。


2008.7.17の日本経済新聞によれば、製造業の税負担率は2008年3月期において、税負担率は38.9%となり、過去最低であることが報じられた。
主な企業の負担率は:
15.3% HOYA
26.3% 松下電器産業
27.5% デンソー
33.2% 旭化成
34.4% 住友化学
35.3% マツダ
37.4% トヨタ自動車
などである。特に、松下電器産業は、今決算で大きく、負担率を低下させている。

いわゆるグローバル企業は、海外での利益を日本へ還流させなければ、日本の高い税率では課せられない(利益を現地においたまま、現地での税率を適用する)。海外での利益は、再び、海外で再投資するのである。

従って、日本の場合、国内で本社を移動するのは、東京へ本社を移動し、政治や経済の動向をいち早くキャッチし、企業を機能させるため、情報公開に関する機能(投資家への説明など)が東京に集中しているため、または、多くの企業が東京にあるため、便利なことが多いためである(国内、海外への移動(飛行機)も便利ですし)。

逆に、あまりにも、東京での種々の干渉が強くなると、もともとあった地域にもどるか、東京に本社を置かない。

ともあれ、グローバルに展開している企業であれば、税負担率を低くすることが出来るので(税の空洞化は問題です!)、企業の経営効率を高める為、本社の機能が最大化する地域にあるのであれば、問題ないのである。

ただ、”本社”というのは、従業員にとって特別な響きがあり、特定セグメントではなく、全従業員に興味を持たせるため、その機能の発揮に関する決定や変更、または移動などに際して、ネガティブなイメージを伴なわせることだけは、組織に敗戦ムードが漂うのでしないほうがいい。

*奮闘する橋本知事で財政危機の大阪が注目されましたが、地域経済への影響を把握する良き測定系であるためか、「大阪における企業の本社機能」も研究されています。
http://www.pref.osaka.jp/aid/chosa/03-88/03-88.html

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