「だれに」「なにを」「どうやって」

2009年8月2日

書籍

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企業の基本的な目的は、利潤を最大化することにある。
それは:
利潤=収入―費用
である。

今回の危機のなかで「世界的な不況で1~3月期に赤字に陥った全産業の連結経常損益は黒字に転換した。」(2009/08/02, 日本経済新聞 朝刊, 1面)などは、当然、収入を増加させるのではなく、工場再編や人員整理、固定費の削減といった費用を削減したことによる。

ただ、企業は長い目で見れば、収入を増加される仕組みを構築することの方が重要な業務であることは疑いはない。言葉を借りれば:

いまやほぼすべての競合が規模の経済を達成したか、または達成目前のところまできており、戦略的外部調達の手も打ち、見渡す限りすべての部門のリエンジニアリングも済ませているのだ。低コスト体質はこんにち、戦うためには絶対不可欠である。だが、もはや勝つためのさほど大きな要因ではない。」[1]のである。

さて、本日のタイトルは、マーケティングでよく言われる台詞である。

どのような「顧客に」「新商品、既存商品、サービスを」「どのように」届けるのか、である。

それぞれは以下である。:

「だれに」―ターゲティング
「なにを」―差別化ポイント
「どうやって」―手段


どうしても、製造業では、差別化ポイントに目がいき、「いいモノは売れる」症候群に陥る嫌いがあるが、「だれに」売るのかわからないマーケット担当者は、どのようの研究開発へフィードバックするのだろうか。

また、実際の製品、サービスには「(差別化のポイントは)ささいなポイントがいくつか見つかるが、圧倒的な違いは1つもない[1]p330」かもしれない。

そうしているうちに、マーケット部門と研究開発部門ではお互いに宇宙人だと考え(言っている意味すらわからない、わかりあえない)、“社内宇宙戦争”が始まる。主な武器は“誰が悪い砲”で、いつも責任を投げ合っている。

少し話がそれたが・・・、要は、企業の収益増加には、製品、サービスと顧客の関係性を築いていくことが連続的な(持続可能な)収益を生む要因となるのである。

その関係性が“ブランド”なのである。


だから、企業はその構築に、人材育成も含めて莫大な資源を投資し続けるのである。



・・・「だれに」に90%、「なにを」に9%、「どうやって」に1%。(サム・ヒル)[1]より。


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[1] ジョエル・クルツマン, ヴィクトリア・グリフィス, グレン・リフキン, 船川 淳志 (監訳), 河井 佳子 (訳),『MBA全1冊』, 日本経済新聞社,2005, pp322-334.


<参考書籍>


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