GDP回復の源泉は海外経済の回復である。

2009年8月26日

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「内閣府が17日発表した4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0・9%増、年率換算では3・7%増となった。」[1]
「5四半期ぶりのプラス成長となった2009年4~6月期の実質国内総生産(GDP)速報値は国内経済が最悪期を脱したことを裏付けた。」[2]

与党が待ちに待った“朗報”である。

前期は記録的な落ち幅だったのに対し、今期はプラス成長である。下のグラフにその推移を示した。

●GDP成長率(1981~2009.4-6、年率換算、季節調整済、前期比%)
グラフでは、1981年からの指数を描画しているが、最近の落ち込みは、97,8年のアジア通貨危機、2002,3年頃のITバブル崩壊に比べても相当に大きな落ち幅であることがわかる。

今回の報道での値は、前の落ち幅の大きなGDPの値が基準になるので、少しの回復でも大きな回復として表示されてしまう嫌いはある。パーセンテージは常に実数に当たらなくてはよくわからないのである。

そこで、実質GDPの推移を下に示すが・・・た、た、確かに回復し始めている可能性が高いと考えられる・・・と苦しい値ではある。

が、GDPの下落は止まったようである(今後これが伸びるかは?)。


●実質GDP実額(年率換算、兆円)
GDPの約6割は個人消費でしめられるが、「前期比0.8%増と08年7~9月期以来となるプラス[1]」らしいが、“前期”とそう変わらないということは相当に冷え込んだままである。

この回復の主人公は「4~6月期の実質GDPを押し上げたのは海外需要だ。[1]」とあるように、主に中国を中心とした輸出にある。

何のことはない、輸出で回復するということは、海外の回復に便乗しているだけである。

G2、G20の枠組みが標準になりつつある中(いわゆる日本は二流、三流、その他大勢の扱い)、すぐ隣に今後著しく成長する国があることは日本の経済には大変望ましいことである。米国の状況は報道で示されるような決して楽観的な状況ではない。むしろ、政府からの支援が切れれば、かつての日本が味わった状態を再現するかもしれない。


・・・いずれにせよ、予断を許さない状況です。


<参考記事>
[1]「GDP実質3.7%成長、4~6月年率、5四半期ぶりプラス、アジア向け輸出増。」, 2009/08/17, 日本経済新聞 夕刊, 1面.
[2]「GDP実質3.7%成長、景気、試される持続力、年内は緩やかに回復。」, 2009/08/18, 日本経済新聞 朝刊, 5面.
●実質GDP実額(年率換算、兆円)
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/qe092/gdemenuja.htmlにおけるⅠ-2/実額/実質季節調整系列 より。
●GDP成長率(年率換算、季節調整済、前期比%)
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/qe092/gdemenuja.htmlにおけるⅠ-2/増加率/年率換算の実質季節調整系列(前期比) より。

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