2009年の品質月間は第50回の節目である。

2009年9月10日

品質はこうして落ちていく 品質月間

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日本の製品の品質は戦前の安かろう、悪かろうから、大きな変貌をとげ、“made in Japan”が高品質の象徴となるまでその品質を追求したが、背景にはQC活動を淵源とする企業の地道な活動があった・・・ということは言うまでもない(QC, TQC、そしてTQM)。

そういった活動を支えてきたこの運動も2009年で50年の節目を迎え:

  • 「持続可能な社会をつくる品質~今、あなたにとって品質は?~」
が今年のテーマとなっている。今回の第50回を迎えるにあたり、玉川大学の大藤先生は、ホームページ上にて以下のように述べている。
わが国で近年多発する製品品質に関わる事故やトラブル、その影響による日本製品に対する消費者の不信感などを考えますと、今後も「品質」、「品質管理」の重要性を継続して産業界に伝え続けていかなければなりません。
->第50回品質月間(Quality Month)を迎えて(日本科学技術連盟HPより)->注)このリンクは毎年更新されるため、最新版の品質月間のものが掲載されており、現在は第50回のものではありません。

「品質軽視に陥らず、原点回帰で良い品質を継続的に提供することで、生活の豊かさ、社会全体の発展に貢献*」ということが今回のテーマの主旨であることが伺える。
*テーマ趣旨説明より趣意」->注)このリンクは毎年更新されるため、最新版の品質月間のものが掲載されており、現在は第50回のものではありません。

このような運動の熱は冷めることがなく、本ブログ運営者が開設している「MOT用語集」などの無名のサイトでさえ、(ありがたいことに)ユーザーは参考書籍をチェックし知識を獲得しようとしている。

ちなみに、このサイトを通じた参考書籍の中でチェックが多いものは:
FMEA-故障モード影響度解析
QFD-品質機能展開
にて紹介した書籍である。


しかしながら・・・このブログでは、いつもであればそうなるところで、これまでの文章は、やや長めのフリであるパターンが多かったが、今回はそうでない。

以前にも「職人には譲れないモノがある。」など、現場での職人の重要さやそれに関連する事柄を記事にしてきたが、反面・・・

(よほどの伝統産業でないかぎり)もう日本の現場には、職人はいないのではないか・・・

という思いが常にある。工場のオートメーション化は「無人」という言葉が聞こえるほどに進む分野もあり、それ以前に製造していた、いわゆる工程、工程の品質を高めるコツも組み込まれ、【モノをつくるというより、機械を動かす】プロが量産され、その【品質を高めるというよりは、機械を止めない】ことが第一義になっている風潮を強く感じていたためである。

そのような工場で生み出してしまうのは、凡ミスによるクレームのオンパレードなのである。

これは、品質に責任を感じているのではなく、機械を止めないことに責任の重きを置いているからである。必然的に従業員の興味は、QCなどのどこでも通用する管理手法にはいかなくなる(機械はその機械が変われば通用しない)。かといって量産機を設計できるスキルを持ちえているわけではない。

経営者は真っ先にそこに手をつける。


さすがに、今回の品質月間のテーマに掲げられていた従来型の品質運動の延長に持続可能な社会をつくる大きな要因があるとは思えないが、そのような品質を“人”に求めるのであれば、寄与率は高くなっていくと思われる。それは教育だろう**。
**近年の焦点も戦略、組織構造、テクノロジーといったハード面から、だんだんに”個人”へ焦点があてられ、議論において、企業文化論の占める割合が大きくなってきている(ビジネスは結果か?②)。



・・・自身の高品質化が進まなければ、不良品とみなされる節目かもしれません。



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QFD:品質機能展開
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狩野モデル-品質とは


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