中堅社員は何が求められているのか。

2009年11月15日

気になるニュース 研究

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○連覇を果たしたWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)でのチーム運営
○名門復活を遂げた早大ラグビー部の意識変革
○昨年の西武ライオンズの権限委譲による自発性の育成など[1]、

近年、スポーツ界に限らず多くの組織において、ビジョン、ファクト(データ)分析、意識変革、権限委譲など、組織にとって重要な要素である人的資源管理、及び開発に関する議論が高まっている。

そういったなかで、中堅社員*の求められる役割と言えば何だろうか?
*中堅社員:参考の産業能率大学中央研究所の調査では、入社5~10年、20代後半~30代前半。

産業能率大学中央研究所の調査によれば[2]:
中堅社員の役割として、特に重要だと思うものを聞いたところ、「職場の後輩を計画的に指導・育成する(後輩の育成)」が72.5%でトップ。

と、「後輩の育成」が「自業務の改善」、「(目標達成に向けた)シナリオ構築」を押さえてトップであった。

該当の中堅社員と言えば、就職の状況も芳しくなく、入社すれば、失われた15年に見舞われた企業業績の悪化の影響で、人数が少ない中、多忙な世代である。

最も近い先輩は、団塊ジュニアで、これまた似た境遇である。その上はバブル世代で、話が合わない。

とはいうものの、この調査の回答者(調査対象)は、「中堅社員育成をテーマにしたフォーラム参加者(人事・教育担当)」なので、企業にとっては切実な声である。


ところが、次世代のリーダーの育成を最も重要に考えながら、「職場の後輩を計画的に指導・育成する(後輩の育成)」の遂行状況において、「遂行している」と答えたのはわずか3%である(5段階評価において)。


教育は眼に見えない投資ではあるが、以前の記事(ビジネスは結果か②)でも述べたが、着眼点は、すでにハードからソフトへ移行している。

厚生労働省の調査では:
人材育成投資額を増加した企業のうち、売上高が増加している企業の割合のほうがそうでない企業の割合よりも高くなっている(平成17年度能力開発基本調査 結果概要3より)。


確かに、現在の中堅社員の状況は厳しい。自らも学習しなければならない中、後輩の育成まで手がまわらないのが現状である。

だが、草野らがキーワードに挙げたキャリア開発(下の文献参考)を基に考えれば、企業組織の発展を念頭に、それぞれの役割において、後輩と共にスキルを磨くことは可能ではないだろうか。

共に学習することは、信頼性を育む。信頼性が相互尊敬を生み、当該組織の必要条件は満たされるであろう。

そのようなニーズと少子化により、大学の社会人教育も過去にないほど、充実し始めている。*参考までにリンク集です。

なにせ、日本の「10歳以上の日本人の学習時間は12分」なのである。


・・・今の日本では、少しの努力を継続すれば、周囲とは相当な差となるのです。


<参考>
[1] 「監督たちに学ぶマネジメント」日経産業新聞、2009年7月7日~17日の連載記事の内容を参考にしました。
[2] 産業能率大学中央研究所, 「企業における中堅社員の現状に関する調査
PDFはこちら
[3] 厚生労働省:「平成17年度 能力開発基本調査結果概要

*人的資源開発(HRD)に関する理論的系譜などは以下。
草野千秋, 久本憲夫, 「人的資源開発の理論的系譜と概念の整理―個人開発と組織をつなぐキャリア開発―」京都大学経済学研究科 Working Paper J-64, 2007年5月


<関連記事>
ビジネスは結果か②
10歳以上の日本人の学習時間は12分である。
リーダーの得意技は【測定系】の決定にある。
リーダーは、あっさり【譲る】ことも必要である。
リーダーは【他人の頭】をうまく使う。
リーダーは【平凡な人】を良く知っている。
リーダーは【先見性】を持っている。

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