社会人MBA-技術者編

April 28, 2009

均質化する知識―MBA

MBAといえば、通常は3年程度以上の業務経験を有することが受験資格となっていることが多い(たかが3年で専門性が身に付くことはないがそれは置いておいて…)。

ただ、そうでなくとも、というよりは、商学部や経営学部の学生が大学院に進めば、これは学歴なので現役の学生がMBAである。

かといって、現役の学生がどうのこうのというのではなく、彼らは、あとは企業に入って専門性をつければいいだけのことである。

最近は、ネットも発達し、種々の情報に恵まれているため、MBAといえども(いや、理学修士や工学修士もそうであるが)、「MBAだから」に全く付加価値はない(といっていいかも)。

もちろん、MBAで受講する財務やマーケティングなどの基礎的なことは、いかなる分野の企業人にとっては必要なことなので大切である。が、それが、”検索”である程度何とかなってしまうのが現在である(もちろん、問題解決に向けた思考や種々のことはさておいて…ですが)。

となれば、MBAにも付加価値が必要なのである。いや、逆かもしれない。何かの専門家がMBAを追加的な付加価値に置いているのかもしれない。現在のビジネス教育に関する大学教育の発達ぶりをみれば、その言い方の方がよく言い表している。

MBAでは何も”秘法”を授けるわけではないので、”知識”という点では、均質化する。そうなれば、付加価値がものをいう。

日本は”肩書社会”なので、専門化したスキルを肩書きに変えることも大切な労働であり、効率のいい自己への投資である。


・・・そういったことを意識して仕事に従事するのと、そうでないのでは、大きく違いますよね。。。


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April 23, 2009

50±2gのA,B金属を接合、合計質量は?②(②で終わり)

こんなことがあった(つづき)

ある製品で、10±1 mmの中間体を4つ積み重ねる工程がある。結局は、40mmが狙い値であるが、10±1 mmの中間体は工程能力を満たして生産されており、この時点で、40±2mmなのであるが…。

「最大で44mm(=10×4 + 1×4)の寸法なのだから…(それ以上の寸法があって生産効率は大丈夫か?)」
「最小で36mm(=10×4 - 1×4)の寸法なのだから…(それ以下の寸法があって製品機能は損なわないか?)」


新入社員が話しているような嘘みたいな話だが、実際に起こりうる話である。すでに、10±1 mmが規定の能力で生産されているのだから、いやいや、びっくりするようなエラー率を設定して考えてみる。

10±1 mmが大きめ(11 mm以上)の規格外になる確率を1%とする(とんでもなく大きなエラー率だ)。これが4単位積み重なる確率は、0.01^4で、1億分の1である。

この数字は、この話がでた製品の生産数からすると、2~3年に一回のエラーである。当然、エラー率は1%以下なので、おそらく会社員生活で一度見れたらラッキーな現象である。

実際、規格外の大きな寸法が問題で何かが起こったことは起きたことはなかった*。
*この生産ラインは現在は存在していません。念のため。

日本には、”文系””理系”という悪しき伝統があるが、それに関係なく、大学初年度程度の統計学は必要である。足し算と引き算ぐらいしかできなければ、話にならないからである。これは研究職でも同様で、大学初年度程度の工業数学は必要である。

大上段からの話のようではあるが、そんなに難しい学問ではなく、大きな企業であれば、研修も充実しているし、それがなければ、統計ソフトの大御所企業では必ずセミナーが開催されているので、その程度の期間で学べるものである。


・・・なんでもかんでも「最大」「最小」で話をする人いませんか?それは何かのシグナルかもしれませんね。。。


*誤差伝播は、専門的なものではありません。”理系”で学生の時、実験を履修していた人なら(特に一般の物理学実験)、”測定精度”などでこの概念を学んでいますので、その方に聞いてください。
*インターネットでは大学の”物理実験”のガイダンス的なファイルやサイトで”誤差”に関する記載がよく見られます。


<ビジネスでの統計はこちらが参考になります>




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April 22, 2009

50±2gのA,B金属を接合、合計質量は?①

例えば、50±2gのA,B金属を接合したとする*。この製品の仕上がりは恐らくは、100gを狙っているものと推測されるが、工場では±○○gの許容値が大切である。

*ここでいう±2gとは、データは正規分布に従い、2標準偏差分を表現しているものとする。

その製品は、部材がA,Bから成るものとすると、100±2.8g となる。

誤差は伝播するのである。


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ある工場の最終の質量検査工程の担当者は、困っていた。設計担当者によれば:

「±1.0gで管理してください。」

という。この根拠を尋ねると:

「この許容差は、伝統的にこうですよ。」

ということらしい。これまでは、それでもいいと考えた担当者であるが、今回は、現在展開中の品質活動で指摘されており、「伝統的」だからという回答では、雷が落ちそうだ。

製品はシンプルなもので、容器1ヶ、蓋1ヶ、粉体、ジェルで構成されている。
流れは、「容器Zに粉体A、ジェルBを注入し、蓋をする」というもので、それぞれ:

容器12.0±0.2g
粉体A4.0±0.3g
ジェルB3.0±0.2g
蓋1ヶ1.0±0.1g

ということらしい。
**ここでも±○○gとは、データは正規分布に従い、2標準偏差分を表現しているものとする。これは説明のためなので気にしないでください。

そこで、検査担当者は、設計担当者に:
「±1.0gに決まった根拠データってありますか?次の○○品質運動で聞かれていて…コンサルに答えなくてはなりません。。。」
と聞いたところ、次のデータと説明がなされていた。

*  *  *  *
その工程の量産テストの時、各質量(容器など)が全体の質量にどの程度影響があるか測定しています。それは、以下のようになっています。


上のグラフは量産テストの最終データです。設計上は9.0g~11.0gであれば、副作用なく機能するので、その範囲での工程能力が有効です。テスト当時からおよそ、cpk≒1.50程度ですので問題ありません。

下のグラフは、全体の質量に対しての影響度を分析しています(単なる分散分析です)。粉体の影響が大きく、値がばらついていれば、粉体をチェックしてください。次の容器は、おそらくロットによって違いますので、値がシフトする傾向なので、全体質量の分布が少しシフトしているなら疑ってください。

次に、±1.0gの許容範囲の設定ですが、上記のようにひとつには、製品機能上の範囲、二つには、それぞれの構成物が持つばらつきの伝播で、通常和、差の式は以下で求めます。



⊿R=((0.2)^2 + (0.3)^2+ (0.2)^2 + (0.1)^2 )^0.5=0.42

なので:
構成物が持つばらつきの伝播は±0.42g<製品設計上は±1.0g となり、大きいほうを採用しています。なんだかんだと理屈をこねましたが、結局は製品機能上の問題なんです…。

*  *  *  *

だから、「伝統的」なのかぁ…、検査担当者は次回の準備に入った。。。

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誤差は伝播する。

工場では公差の設定などではよく知られている(物理実験では”測定精度”ではないでしょうか?)ことだが、うっかりすることもある。


こんなことがあった(つづく)


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April 15, 2009

コーチング

チーム、個人…如何にして目標達成するか、いや、それに導いていくか。スポーツや特に教育やビジネス界においても注目されようになってきた。

いやいや、そう言ってしまうと、先哲に失礼だ。古くは、ミクロ組織論がある。ホーソン工場実験に始まり、マクレガーのX理論、Y理論ハースバーグの衛生理論などから現在まで、モチベーション論、リーダーシップ論など多く研究されている。

経営に関するトピックも、ハードからソフトへ論点が移動し、優秀な人材を見つける、あるいは育てるといった企業内での行動が重要視されている…とは、お堅い一般論だが、くだけて言うと:
○凡庸な経営者では名のある企業でも一瞬で淘汰される時代になった。
○凡庸な従業員は安い2,3人の労働力に置き換えられようになった。
のである。

さて、コーチングを、チームメンバーや仕事仲間から如何に自発的な行動を引き出すためのものであるか、と考えると、モチベーション、動機付けは:
目標達成のために高レベルの努力を行なおうとする個人の意思」*であるから、”成果”という観点からは親和性は高いものである。
*(榊原清則,『経営学入門 上 日経文庫 853』日経文庫,2002, p52)

最近では、企業の競争力を決定するモチベーションの3要素を【公平感、連帯感、達成感】として『熱狂する社員 企業競争力を決定するモチベーションの3要素 (ウォートン経営戦略シリーズ)』が示している。

結局のところ、大切なことは、”勝つこと”というよりも”勝ち方”に主眼を置くことに集約される。

例えば、結果よりもその過程(=プロセス)を重視したり、チームをよく把握すること(=永遠の法則ばかり求めたがる青い鳥リーダーはいらない)などが大切であり、(通常のいわゆる特に仲の良い集団ではない)企業では、ある意味一つの社会なのだから、面前と罵声を浴びせることや、人事権をたてに叱責するなどは、奪利益者の所業といってよい。

かといって、従業員もプロセス重視に甘えるわけにはいかない。やはり、ビジネスは結果である。利益が上がらなければ、ご飯は食べられないのである。

スポーツ界においては、コーチングの役割が重要視されており、種々の例が公表されている。

つまるところ、企業で置き換えると、コーチ的な役割を果たす人とその人のチームメンバーの信頼関係がほとんどの説明因子であり、コーチのもつ技術や理論などは、もちろん大切だが、それは優先順位が一位ではないようである。

見渡せば、周囲には、結果はともかく、しっかりと自己を律し職務を遂行する方は必ずいる。おそらくその方は誠実であることが多く、私心がない。

学者ではなくとも、うすうす、こういう人がリーダーであれば…リーダーになるときはこういう感じだな…と感じているものである。

若いチームであれば、何でもできるリーダーより、何でもさせてくれるリーダー(いい意味責任をかぶってくれる)が必要であるし、プロフェッショナルを集めたチームでは、仲の良さはどうでも良く、結果を出すことにより、親交を深めていく順序であるし、逆に未熟なメンバーが集れば、まず仲良くなることが優先される、など状況によって様々ではあるが、結局はファシリテーターが必要なのである。

その人は誠実であれば尚よいのである。


・・・好きなことするのにモチベーションは必要ありませんが、仕事はほとんどの人が動機付けしないとダメですよね。。。



<参考&推薦書籍>




野中郁次郎, 『経営管理 (日経文庫 (512))』日経文庫.

*大御所の先生が日経文庫で執筆される場合、読者が一般の会社員へも広がるために、専門家向けより丁寧でわかりやすく仕上がっていますので、意外に日経文庫の書籍はお勧めです。

*MBA時代の書籍紹介は以下ですのでご参考ください。
○基礎、一般書籍編
○専門書籍編

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April 8, 2009

小さな賢人の”それ”

”小さな賢人”は有名人である。その人は時には原子より小さく、特別な能力を持っており、なかなか答えを教えてくれない透明人間みたいなこともある。

さらに、小さな賢人の持つ”それ”の威力は凄まじい。賢者の石に匹敵する。

とは、よくある思考法であるが、研究開発の際によく使用する。

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ある現象を解明しなければならないのだが:
A+B→C+???
???はなぜ発生したのか、メカニズムがわからない。わからないので、議論の時はその機能を”それ”や”あれ”で表現し、「”それ”の為に○○が起こり・・・」などで使っている。

”あれ”、”それ”ではなく、小さな賢人も利用する。
「ここの電子をここに運んで・・・」
「一旦、エネルギーを蓄積して・・・」

このように、未解明のものに代名詞を用いれば、意外にわかったような気になり(?)、議論や実験が建設的に進みやすい。例えば:

「”それ”は△△に弱そう(機能ダウン?)」
「”それ(や賢人)”が使いそうな単位は?」

要は、未解明の現象を誰かや何かが起こしているように考えるのだが、小さな賢人の働きや、それが見つからないことも多い。


・・・そう、うまくいかないときは:

    「小さな賢人を創ってくれ~」
    「いやいやそれノーベル賞だから・・・」

とむなしい会話が続きます。。。



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