過度の手順化、マニュアル化は歪な排他性を生む

2011年8月3日

t f B! P L
(匠の世界を除く)ものづくりに“管理”は避けられない。それは、顧客(または後工程)の要望によるもので、信用でもある。


作業的には、管理に伴い、作業や業務手順など多くのことを文書化しなければならない。組織において、必然性の高いこの行為の落とし穴は―

①ノウハウなど「すべてのことを手順には記載できない」こと
決められたルールが教条的になり、例えば、手順にない“ファインプレー”を行っても、手順にない行為を行ったほうが問題視されるといった歪な排他性を生んでしまうこと(≒創造的な行為は受け付けない)

が挙げられる。

管理者が注意をしなければならない上記のシグナルは、“勤務評定”の際に感じ取ることができるかもしれない。つまりは、(部下は)給料が下がりたくないので、自らの力量の70~80%程度の業務において手順に従い確実に行うことで達成できるありきたりな目標に落とし込んでいる。

ルールにないことをしない傾向なので創造性に欠ける組織となってしまう。

こういった症状が進んでいけば、顧客に届ける製品・サービスの価値は、当該組織の都合のいい基準に無理やりに押し込められてしまう。


あくまで、教条的に成りうるものは、“顧客に届ける価値を常に考える”ことである。それをどのような品質で、どのような方法で届けるのかが、企業の営利的努力である。


こういった組織での経営者の課題は―

当該組織のために、メンバー自らが、自身に何ができるかを問い、問題解決へ向けて動き始めるチームを1つでもつくることである(マニュアルにしばられない)。

大きな事故が起こってからでは遅い。

事故が起きないように仕組みを構築することも大切ではあるが(事故は必ず起きてしまうものなので)、大きな事故を回避する出来うる限りの対策を講じ、起きてしまった小さな事故を教訓として、製品・サービスの安全性を成長させていく仕組みづくりも同様に大切である。それは管理者の仕事である。


・・・多くの問題、課題は想定外ですから、想定外の問題に対してのマニュアルの適用はかなり限定的です。

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