社会人MBA-技術者編

August 18, 2011

測定システムの確立―地道なこの作業が長期的にコストを低減する

『コンマ何秒の短縮化が勝負なんだ!』

(どのような場面かはわからないが)一生懸命に何かしらをカイゼンしている機会があったとする。いろいろ何かを試しているようだ。

このカイゼンのポイントは、「コンマ何秒」かの短縮であるが、管理者自身がそれをストップウォッチを使って計測しているとすれば・・・(設定が曖昧ですみません。。。)

このカイゼンは成功しない可能性の方が高い。成功すれば、それは管理者の手柄ではなく、作業者の手柄である。

なぜなら、「コンマ何秒」を競う測定で、管理者がストップウォッチで計測している場合の精度はせいぜい±0.1~0.2秒(目で作業を確認し、指に命令が伝わるまでの時間)、さらに、その管理者は同じ作業を計測しても同じ時間を計測できるかの確認をしていないからである。
(3.00秒きっちりで止めれるか、なんてよく暇つぶしにやりましたよね。)

誤差だらけの効果測定で有意性を有するのは、トライする前から結果がわかるような劇的な変化しかない。

ツッコミどころもありますが、あくまで、今日の話の導入のための例ですので・・・


○○法、△△メソッド、■■検定

何かしらのデータを取り扱う際、フォーカスされるのは分析改善策であることが多い。


確かに、数学的な素養を要することや、ある課題、問題、また仮説に対し、適切な数学的処理を施し、結果を吟味する様子に焦点が合わされることは仕方がないかもしれない(これはこれで素晴らしい技能ですので)。


しかしながら、最も大切なことは、データの取得なのである。

製造業における生産性を高める代表的なプロジェクトにおいて、問題の6割弱は、測定システムの惰弱さを解決することで終了する。

どうしても、その後の(データ取得後の)問題に大きな影響を与える決定的な因子の導出、因子間の距離を定義する分類、目的の変数をうまく説明する回帰式、また、種々の検定による有意な因子の導出などに目を奪われがちだが、それもこれもデータがきっちり測定されていればの分析である。


ほとんどの企業において、いわゆる科学的な真値は必要ないと言っても過言ではない。

だから、部品のある寸法などは、決まった測定方法で1.0cm、それがスペックを満たしていれば、それでよい。

混乱の元になるのは―

①測定者、測定器により寸法が違う
②同じ測定者、測定器で何回か測定すれば値が違う

であり、①、②それぞれ、再現性、反復性を元に当該測定法の有効性をテストしなければならない(一般的には、ゲージR&R*と呼ばれる)。

*一般的な統計ソフトには、この機能を有しているものが多い。エクセルを使ったフリーソフトでは、このサイト(saekit@Vector)、トップページ中頃の[ソフトウェア][ソフト一覧]ページ内に「ゲージR&R」を公開してくれています。

田中さんと佐藤さん(組立業者とサプライヤー間でも同様)が同じ部品の寸法を測って、値が異なれば問題であるし、ある測定器で測定する度に値が異なっても困る、という単純なことが問題となっているのである。

電子天秤など、定期的に決まった質量のいくつかを測定し、検定を行っているような測定器では、少ないかもしれないが・・・。


結局は、どのような測定であっても、粘り強く、その測定システムを構築していくことが大切である。

その仕組みがあるからこそ、新人でもベテランでも、異常を検知できる。

検知力が高まり、僅かな異常でさえ検知できる仕組みであれば、データ取得期間、分析次第では、異常の発生率を低下させることが可能になる。それは、故障率を低下させることにつながっていく。

そういう状態であれば、仮に故障が発生したとしても影響する範囲が小さいため、トラブルシュートにかかる費用、時間が少なくて済む。


特効薬を探す管理者は多いが、実は、こういった地道な取り組みが隠れたコストダウンの最良の薬なのである。


・・・データ自体が豊富な量を誇ろうとも、測定システムが整っていない状況でのデータでは、天才分析者が分析しても答えは見出せないものである。


Photo by Maco


<関連記事>
パーセントの使いどころ
相関関係と因果関係
データのズレ―それは、測定器の違いです。

<参考までに>
データを分析、集計する際の三原則
相関分析について
回帰分析をエクセルで行う
正規性検定→F検定→t検定

Labels: ,


0 Comments:

Post a Comment

<< Home