定めたルールの想定者は誰なのか?

2011年11月2日

t f B! P L
その昔、現場には、ものづくりには不利な日本の条件(特に湿度)、また、納入する素材の品質バラツキにも関わらず、一年を通して、同じ品質に加工する職人がいた。

今は、一年を通して同じ文句ばかり言う給料泥棒が増えてきた。


*  *  *  *  *

さて、所属している組織のルールの基準は誰を想定して設定しているだろうか?

組織、またはチームは、当該組織が提供する価値創出において、その組織に必要な能力の高低で、低いレベルに合わせた速度でしか、目的に向かわない*――というもどかしい局面は多くある。

* 経営的な判断では、その能力の毀損によって顧客へ提供する価値が減じるのであれば、何かしらの対策は必要であるが、企業文化や事業内容によっては、そうでない場合もある。いわゆる答えのない話ではある。


処方箋は、短期的には、制約条件を解消し、長期的には地道に“教育”を続けていくことしかない。


教育”―――一見ムダで、1年、いや数年程度削減しても大丈夫そうな“教育費”を削って、教育を怠ると、構成員の職務上の水準が上がらず、外部環境のそれは高くなるので、相対的に当該組織の水準は押し下げられてしまう。

これに対応するには、コスト的には矛盾しているが“管理”を多くするしかない。


だが、増加した管理は、新たな基準、新たなルールを次々に生み出し**、本来、対応しなければならない事象においても、返ってそれが足かせになって、対応が疎かになってしまう。

** Red tape(レッドテープ;Wikipedia)を参考にしています。

そして、当該組織のレスポンスは鈍くなり、構成員の“基準やルールを守る”という正統な行為は、逆に、不確実な事象に対応できない状態を招き、問題の温床となっていく。

そういったことに無頓着な管理者は、教育面の充実やチームの働き易さなどの環境を整える事を自らの職務とは思わず、常に誰が悪いかを議論している。


まるで、勤務時間を拘束時間と読み違え、勤務している以上は、1分1秒までも働かせなくては損であるかのように考えている。

お馴染みの競合企業、新たな分野からの参入者、そして、顧客の動向――目を向けなくてはならない多くのことは外にあるのに、敵が内部にあっては従業員は内部の顔色しか伺わない仕事をする。

典型的な悪循環である。


・・・いわゆる「底上げ」は、地道な教育活動の成果です。

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