社会人MBA-技術者編

January 25, 2012

3つの故障

故障―「要求された機能を失う*」「系、機器、部品などが規定の機能を失うこと**」とされ、一般的には、この確率が低くなれば、信頼性が高くなる。

メーカーは、製品の故障発生データから、様々な情報を分析している。その際にワイブル分布(wikipedia)はよく用いられ、パラメーターの値から故障の型を解釈することが多い。


その故障の型とは―
初期故障
偶発故障
磨耗故障

であり、①「設計上、製造上の欠陥による故障が大多数*」、②偶発的な原因による、③「摩耗、疲労などにより寿命がつきる**」ことによる、と分類される。

製品の故障までの時間や、設計、開発段階でのデータなどがあれば、現在では、ソフトウェアが充実しているため、簡単にパラメーターを推測することができる。

解析により、③磨耗故障がわかれば、それはほぼその製品(部品)の寿命なので、この解析を工程に活かしている企業は、この故障時間が訪れる前に構成部品などを交換する。

伝統的製造業では、当たり前のような作業なのだが、系統的に説明されると、「なるほどぉ」と感心してしまう。

反面、故障する前の構成部品などの交換に関して、品質管理の概念が織り込まれていなければ、オペレータの資質と管理者のレベルを疑う。


組立業者が陥る矛盾に、「構成部品高品質化イコール製品の高品質化」がある。

多くの構成部品からなる製品において、各構成部品の品質保証も様々である。それらを統括していれば問題ないのだが、よくあるのは、部品によって担当部署が異なったり、担当者が異なってくると、細分化された高品質化は、担当員それぞれがその担当品の高品質化(例えば部品の耐久性の向上)を行いはじめる。

製品の高品質化といっても、全構成部材を変更することはほとんどないので、現行のままの部品も存在する。


仮に、各部品に機能保障期間が設定されていて、変更しない現行部品のそれが3.0±0.2年だとする。この場合、他の部品の耐久性がいくら高くなろうとも、製品としての耐久性は向上していないことになる(機能面は別にして)。

さらに、外側の悲劇としては、各担当が安全係数を取りすぎてしまう場合、それらを組み合わせると、今まで検討したことのない領域(外側の領域)で製品が機能するため、意外に、どのような作用をするか把握できないものである。


工場に目を向ければ、工場の生産能力というものは、構成される全工程の能力の平均値でも最大値でもない。最低値が基準となる。

1分間に100単位生産できる工程A、Bの能力をいくら高くしても最後の工程Cの能力が80であれば、全体の能力は80である。(A→B→C)


もちろん、故障は発生しない方がいいが、発生してしまうものでもある。発生してもいいような設計(フェールセーフ(wikipedia))、故障発生の際、プロセスの節目で柔軟な対応が出来る仕組み、などが機能しているかは非常に大切なことである。


・・・故障をマネジメントしている組織は、製品を管理化においています。


<注>* [1]、** [2]を参照及び引用。

<参考書籍、サイト>
[1] 栗原 謙三, 『情報システム化時代の信頼性工学テキスト』, 日本理工出版会, 2000.

[2] パナソニックホームページ, 「制御機器 信頼性について―故障」を参照。

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January 18, 2012

流れる利益

経営者の最大の悩み―

利益ある成長の機会はどこにあるのか?


典型的には、顧客にとって重要な問題の解決策である「片づけるべき用事(the job-to-be-done)」おいて、「十分でない」周辺である。
(『イノベーションへの解 利益ある成長に向けて』、第6章など)


例えば、ある顧客が「業務の電子化」を望んでいたとき、パーソナルコンピュータはその要望に応えることができるため、これを組み立てる業者は、まさに「十分でない」地点にあり、利益を享受する。

時が経てば、顧客の多くは、「業務の電子化」に関しては「十分」になり、処理能力の高低に目がいきはじめる。「十分でないこと」が「処理速度」に移っていく。

その「十分でない」ことで利益を享受したのは、過去の例からは、インテルやマイクロソフトであろう。


結論的には―
魅力的な利益は、「顧客」が十分以上に満足している活動からは離れていく」([1]p210)のである。


次元は異なるが、組立業者では、“後工程はお客様”なる標語は必ず聞くものである。カンバン方式などのプル型においては、「生産結果は後工程が造らないかぎり、前工程は造れない」ため、そのように表現する(Lean-Mnufacturing-Japan参照)。


プッシュ型組立業者の工場においても、自工程で、次工程の満足する製品(仕掛品)を提供することを目的に、似たような標語を見ることができる。


話を戻すと―

次工程(=顧客)が「十分に」満足しているのであれば、おそらくは、当該工程には、魅力的(金銭的に)なカイゼンはない。


逆に、ある工程が不満足状態であれば(十分でない状態)、その周辺部に魅力的なカイゼン点がある(工場内では、歩留まり、不良率など生産性の向上に関するメトリックに収斂するだろうが)。


いや、組立自体はスムーズである、というのであれば、組立が十分である頃には、製品自体はコモディティ化が進み、顧客が支払う追加性能への追加価格はほとんどないだろう。
(製品化のスピード、利便性に軸足が動いていることもある。)

ならば、組立周辺部はどうか?

・研究・開発?
・販売、小売?

「十分でない」箇所はどこか、管理者のアンテナは常にここになければならない。


・・・製品の陳腐化は速まれば、利益を創出する機会、場所の移動スピードも速くなる。それでも利益を創出し続けなければならない企業のマネジャーの役割は、仕組みの構想、設計です。


<参考文献>
[1] 『イノベーションへの解 利益ある成長に向けて


January 11, 2012

「プロセスは、同じ課題に繰り返し取り組む集団の内部に生まれる。」

(遅くなりましたが―)
新年明けましておめでとうございます。

*  *  *  *  *  *

新年の風物詩といえば―
New Year's resolution―いわゆる「新年の誓い


この成功率はどれぐらいなのか?


Wikipedia、New Year's resolutionによると、78%は失敗するらしい(2007年の調査)。

逆に、どうして成功するのかについて、サイトでは―
目標達成について、測定可能性友人のサポートが達成率を高める要因として述べられている。


経営に目を転じて、成長をマネジメントするひとつの視点をクリステンセンは次のように述べている。

プロセスは、同じ課題に繰り返し取り組む集団の内部に生まれる。
(クレイトン・クリステンセン他, 『イノベーションへの解 利益ある成長に向けて』, 翔泳社, 2003, p320.)


イノベーションに取り組む際にも、時に企業文化と衝突する、もしくは“ない”事柄にトライしなければならない局面がある。

新年の誓いも、多くはこれまでの生活にない事柄を積み重ねなければ達成しないことが多いだろう。

が、(今あることをより良くするようなプロセスが整った場合でも)何か新たなことにトライすることでさえ、それは無駄ではなく、習慣化への取り組みであり、このプロセスを組織に埋め込まなければ、次なる成長の可能性は低い。


三日坊主も一年続けば習慣である。


成功する要因として挙げられている測定可能性―シックスシグマ・プロジェクトでの多くでも、測定系を確立することで財務効果を上げるプロジェクトが多い。

工場では、不良を発見する指標を持っているであろうし、経営面ではトレンドが変化するそれをモニターしているだろう。


だが意外に数字の測定や根拠が曖昧なのである。


そういったプロセスを是正しながら、次なる成長を目論んでいく―経営における舵取りの難しさである。


その成長に向けての舵取りにおいて、当該組織にどのようなプロセスを埋め込んでいくかは、企業の文化、今後挑戦する事業分野により様々であろうが、どの組織も習慣化にかかる期間は企業資源次第である。


従業員が、担当する何らかの業務を毎日、毎日こなすことは機械的であり、前後のプロセスの様相を考慮できることは技術的である。そして、不測の事態にも対応できるようになった業務は芸術的でさえある。


これらも、すご腕の職人を生み出すように、毎日の習慣から生まれてくる。


“次なる成長”に向けての取り組みも同様である。



・・・「習慣が技術であるように、すべての技術は習慣的になることによって真に技術であることができる。どのような天才も習慣によるものでなければ何事も成就し得ない。」(三木清)



<参考書籍>